歌うように弾く

2018年、仕事の忙しさを理由にほとんど練習もせず、ギターと向き合っていませんでした。 秋に地元の音楽イベントでインストを演奏するのが唯一の目標でした。そんなある晩秋の頃、ひとりのギタリストの演奏をYouTubeで見つけました。フィンガーピッカーの龍蔵さんです。彼のアレンジした中島みゆきの「糸」を練習しました。カバー曲を本格的に取り組むのはギター歴30年で初めてのことでした。
ギター専門のオリジナル曲ばかり弾いていた自分にとって、歌のない歌謡曲を演奏するには、メロディーラインを歌手以上に歌うように弾かなければならず、奥が深いことに気づきました。

2019年、インストを演奏していく中、多くのミュージシャンとの出会いがありました。その人たちとギターのご縁が重なり合い、2018年に年間で5回しか人前で演奏しなかったのに、2019年は10月~12月の3ヵ月間で23回も人前で演奏する機会がありました。うれしい限りです。

2019年は、毎日少なくても30分の早朝練習を心がけ、今では毎朝5時~6時に練習してから出勤するのが日課となりました。それというのも、ジャズを中心に様々なジャンルで活躍する日本のギタリスト・渡辺香津美さんの言葉を思い出したからです。あるTV番組のギター講座の中で、初心者のギタリストに向かって彼はこう語りました。「毎日1回は、必ずギターと会話してください」。

2019年、インストを演奏しうていた小生に声を掛けていただき、6月からオヤジバンドのPINDON’Zのメンバーとしての活動もはじめることができました。しかも関西最大のオヤジバンドコンテスト・スーパーオヤジフェスの決勝大会への進出も果たしました。こんなに充実した1年を過ごせたのも、多くのミュージシャン仲間の皆さまのご支援があったからです。本当にありがとうございました。

来年も「歌うように弾く(えすぷれっしーぼ)を極め、2020年の秋にワンマンライブを開催することを目標に掲げて、ギタリストとして精進していきます。 

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一つ一つの曲が聴き手の記憶と馴れ合って世界を作り出してゆく。大体、日付のある表現というのはみんなそうだ。その時おれはどこにいて何をしていたというアリバイを伴奏しているんだ。音楽っていうものはそういうものを超えようと葛藤してきて、少なくとも現代音楽は超えてきたのだけれど、歌とかジャズの魅力はその日付を絶対なくさないことにこだわるべきだ。

「密室から市街へ」寺山修司
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